ConoHa VPSなどのサーバー上でDifyのDockerコンテナを立ち上げた後、すぐにブラウザでアクセスしたくなりますが、その前に「.envファイル」の適切な設定を行うことを強く推奨します。
ここをスキップすると、「画像がアップロードできない」「APIの応答がおかしい」「招待メールのリンクが正しくない」といったトラブルの原因になります。
この記事では、Dify起動直後に行うべき環境変数の設定から、管理者アカウントを作成し、AIモデルを利用可能にするまでの最短ルートを解説します。
1. 必須の環境変数(.env)設定
Difyの動作設定は docker/.env ファイルで行います。特に重要なのが、Difyが自身の場所を認識するためのURL設定です。
なぜ設定が必要なのか?
デフォルトの設定では、URLが空欄またはローカルホストになっている場合があります。これをサーバーの正しいIPアドレス(または取得したドメイン)に変更しないと、システムが正常に連携できず、以下の不具合が発生します。
- アップロードした画像のプレビューが表示されない(画像URLが正しく生成されない)
- メンバー招待メール内のリンクが正しく生成されない
- 外部ツール連携時(OAuth認証など)のコールバックURLが間違ったものになる
.envファイルの編集手順
SSHでサーバーに接続し、以下のコマンドを実行して設定を書き換えます。
# dockerディレクトリに移動 cd dify/docker
サーバーのIPアドレス(またはドメイン)を変数に設定
例: 192.168.1.100 や https://www.google.com/search?q=my-dify.com など
export SERVER_IP="あなたのサーバーIPまたはドメイン"
.envファイルを書き換え
バックエンドAPIのURL設定
sed -i "s|^SERVICE_API_URL=.*|SERVICE_API_URL=http://$SERVER_IP|" .env
フロントエンドWebのURL設定
sed -i "s|^APP_WEB_URL=.*|APP_WEB_URL=http://$SERVER_IP|" .env
補足:もちろん、vi .env や nano .env コマンドでファイルを開き、手動で該当箇所を書き換えても問題ありません。
設定の反映(起動)
.env ファイルを書き換えただけでは反映されません。必ずコンテナを再起動してください。
docker compose up -d
コンテナイメージの「Pull」が実施されるので、各コンテナが「Started」になるまで3~5分ほどかかります。
$ docker compose up -d
[+] Running 80/80
✔ api Pulled 167.7s
✔ nginx Pulled 158.6s
✔ weaviate Pulled 103.7s
✔ db Pulled 60.0s
✔ worker Pulled 167.7s
✔ redis Pulled 112.5s
✔ web Pulled 111.6s
✔ plugin_daemon Pulled 195.2s
✔ sandbox Pulled 38.2s
✔ ssrf_proxy Pulled 34.4s
[+] Running 12/12
✔ Network docker_ssrf_proxy_network Created 0.0s
✔ Network docker_default Created 0.1s
✔ Container docker-web-1 Started 1.8s
✔ Container docker-sandbox-1 Started 1.8s
✔ Container docker-weaviate-1 Started 1.9s
✔ Container docker-db-1 Started 1.8s
✔ Container docker-ssrf_proxy-1 Started 1.9s
✔ Container docker-redis-1 Started 1.8s
✔ Container docker-plugin_daemon-1 Started 1.4s
✔ Container docker-worker-1 Started 1.2s
✔ Container docker-api-1 Started 1.2s
✔ Container docker-nginx-1 Started 1.9s
$
この時点で、各コンテナが起動状態です。
正常動作していることを確認してみます。
起動後、docker compose ps コマンドで全てのコンテナが「Up」状態になっていることを確認しましょう。
$ docker compose ps
NAME IMAGE COMMAND SERVICE CREATED STATUS PORTS
docker-api-1 langgenius/dify-api:1.1.3 "/bin/bash /entrypoi…" api 4 minutes ago Up 4 minutes 5001/tcp
docker-db-1 postgres:15-alpine "docker-entrypoint.s…" db 4 minutes ago Up 4 minutes (healthy) 5432/tcp
docker-nginx-1 nginx:latest "sh -c 'cp /docker-e…" nginx 4 minutes ago Up 4 minutes 0.0.0.0:20080->80/tcp, [::]:20080->80/tcp, 0.0.0.0:20443->443/tcp, [::]:20443->443/tcp
docker-plugin_daemon-1 langgenius/dify-plugin-daemon:0.0.6-local "/bin/bash -c /app/e…" plugin_daemon 4 minutes ago Up 4 minutes 0.0.0.0:5003->5003/tcp, [::]:5003->5003/tcp
docker-redis-1 redis:6-alpine "docker-entrypoint.s…" redis 4 minutes ago Up 4 minutes (healthy) 6379/tcp
docker-sandbox-1 langgenius/dify-sandbox:0.2.11 "/main" sandbox 4 minutes ago Up 4 minutes (healthy)
docker-ssrf_proxy-1 ubuntu/squid:latest "sh -c 'cp /docker-e…" ssrf_proxy 4 minutes ago Up 4 minutes 3128/tcp
docker-weaviate-1 semitechnologies/weaviate:1.19.0 "/bin/weaviate --hos…" weaviate 4 minutes ago Up 4 minutes
docker-web-1 langgenius/dify-web:1.1.3 "/bin/sh ./entrypoin…" web 4 minutes ago Up 4 minutes 3000/tcp
docker-worker-1 langgenius/dify-api:1.1.3 "/bin/bash /entrypoi…" worker 4 minutes ago Up 4 minutes 5001/tcp
$
2. 管理者アカウントの作成
サーバー側の設定が完了したら、ブラウザからDifyにアクセスして初期アカウントを作成します。
インストール画面へのアクセス
ブラウザを開き、先ほど設定したIPアドレス(またはドメイン)の /install パスへアクセスします。
URL例: http://<VPSのIPアドレス>/install
管理者設定画面が表示されます。以下の情報を入力し、「セットアップ」をクリックします。

- メールアドレス: 管理者権限を持つアカウントのIDになります。
- ユーザー名: 画面に表示される名前です。
- パスワード: ログイン用のパスワードを設定します。
「セットアップ」をクリックするとログイン画面に遷移します。作成した情報でログインしてください。
3. モデル設定画面でのAPIキー登録
ログインすると「スタジオ(ホーム画面)」が表示されますが、まだAIモデル(LLM)の設定が済んでいないため、チャットボットを作成しても動きません。

まずはOpenAIなどのAPIキーを設定しましょう。
設定画面への移動
- 画面右上にある「アカウントアイコン(名前のイニシャル)」をクリックします。
- 展開されたメニューから「設定」を選択します。
- 設定画面の左サイドバーにある「モデルプロバイダー」をクリックします。
モデルの追加
モデルプロバイダー画面には、OpenAI、Anthropic、Geminiなど多くのプロバイダーが表示されています。
- 利用したいモデル(例:OpenAI)の枠内にある「セットアップ」ボタンをクリックします。
- APIキーを入力するダイアログが表示されるので、キーを入力し「保存」をクリックします。
これでDify上でAIモデルを利用する準備が整いました。
まとめ
Difyのインストール後は、以下の3ステップを確実に行いましょう。
- .envでURLを設定する(不具合防止のため最重要!)
- 管理者アカウントを作成する
- モデルプロバイダー画面でAPIキーを設定する
これでConoHa VPS上のDifyを活用した、あなただけのAIアプリ開発環境が完成です。
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