生成AIを活用したシステム開発において、今もっとも注目されているキーワードの一つが「MCP (Model Context Protocol)」です。
DifyなどのAIプラットフォームを使っていると、「外部ツールと連携させたいが、APIの実装が毎回面倒」「仕様変更のたびに修正が必要」といった課題に直面しませんか?
MCPは、こうしたAIと外部システムの接続を「標準化」し、システム構築の工数を劇的に下げるための新しい規格です。
この記事では、MCPの基本概念から、それを支える「ホスト・クライアント・サーバー」の仕組みについて、エンジニア以外の管理者にもわかりやすく解説します。
MCP (Model Context Protocol) とは?
MCPとは、Anthropic社が提唱したオープンスタンダードな規格で、「AIモデル」と「データソース(外部ツール)」を接続するための共通言語のようなものです。
これまでは、Googleドライブと連携するにはGoogleのAPI、Slackと連携するにはSlackのAPIに合わせて、それぞれ個別にプログラムを書く必要がありました。しかしMCPを使えば、USBケーブルを挿すように、規格に合ったツールであれば即座にAIエージェントに接続できるようになります。

MCPを支える3つの構成要素
MCPのアーキテクチャは、主に以下の3つの役割で構成されています。これらが連携することで、安全かつスムーズなデータ連携を実現しています。
1. MCP Host(ホスト)
役割:AIアプリケーション本体(例:Dify, Claude Desktop, Cursorなど)
ユーザーが直接操作するアプリケーションです。MCPホストは、ユーザーからの指示を受け取り、どのツール(MCPサーバー)を使うべきかを判断する「司令塔」の役割を果たします。
2. MCP Client(クライアント)
役割:ホストとサーバーの仲介役
ホストアプリケーションの中に組み込まれている通信機能です。ホストからの命令をMCPサーバーが理解できる形式に変換して送信し、サーバーからの応答を受け取ってホストに返します。
※一般的に、ホストアプリケーションがこの機能を内包しています。
3. MCP Server(サーバー)
役割:外部ツールやデータの提供者(例:Google Drive連携機能, Slack連携機能)
実際の「機能」や「データ」を持っている部分です。MCPの規格に従って作られているため、MCPに対応したホストであれば、DifyだろうがClaudeだろうが、同じMCPサーバーを使い回すことができます。
MCPで扱える3つの機能(プリミティブ)
MCPサーバーは、AIに対して以下の3つの機能を提供します。
| 機能名 | 概要 | 具体例 |
|---|---|---|
| Resources (リソース) | データの読み取り | ログファイルの中身を読む データベースのレコードを参照する |
| Prompts (プロンプト) | 定型的な指示 | 「バグ報告用テンプレート」 「コードレビューの基準」 |
| Tools (ツール) | 実行可能なアクション | APIを叩いてデータを送信する ファイルを保存する |
Difyユーザーにとってのメリット
DifyもMCPへの対応を進めています。これにより、以下のようなメリットが生まれます。
- 開発工数の削減: 誰かが作った「Slack用MCPサーバー」があれば、それを自分のDifyに接続するだけで連携が完了します。
- メンテナンス性の向上: 外部ツールのAPI仕様が変わっても、MCPサーバー側を修正すれば済み、Dify側のフローを修正する必要がありません。
- 再利用性: 社内で開発したMCPサーバーを、Difyだけでなく他のAIツールでも流用可能です。
まとめ
MCPは、AIエージェントと社会のシステムをつなぐ「標準規格」です。
この仕組みを理解しておくことで、Difyを使ったシステム構築の幅が広がるだけでなく、将来的にツールを乗り換える際のリスクも低減できます。
「起業のためのシステム化」では、今後も最新の技術動向をキャッチアップし、実践的なノウハウをお届けしていきます。


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