【Dify構築】LinuxにPythonをインストールする完全ガイド

DifyなどのAIチャットボットを構築する際、WindowsやMacといった手元のPCだけでなく、サーバー上での環境構築が必要になるケースが増えています。

特にLinux環境は、AIツールの動作環境として標準的であり、避けては通れない道です。この記事では、Linux環境（特にUbuntu）にPythonをインストールする手順と、そのメリットについて初心者向けに完全ガイドとして解説します。

LinuxにPythonを導入する3つのメリット

なぜ、WindowsではなくLinuxでPythonを動かす必要があるのでしょうか。主なメリットは以下の3点です。

1. 低スペックのPC・サーバーでも動作する

LinuxはWindowsやmacOSと比較して、OS自体が消費するリソースが少なく、低いスペックのPCや安価なVPS（仮想サーバー）でも軽快に動作します。

DifyのようなAIアプリケーションを動かす際、OSに余計なメモリを使わせず、AIの処理にリソースを集中させることができるのは大きな利点です。

Linux OSの中で最も人気のあるUbuntuの推奨スペックは以下の通りです。現代の基準では非常に軽量であることがわかります。

• 2 GHzデュアルコアプロセッサ以上
• 4 GBシステムメモリ
• 25 GBのハードドライブ空き容量

2. 環境構築コストが安い

「環境構築」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、Linuxの場合はコマンド一つで完了することが多く、実はWindowsよりも手軽です。

特にUbuntuなどの主要なLinuxディストリビューションには、最初からPythonがプリインストールされていることが多く、すぐに開発を始められるケースがほとんどです。

3. 比較的安全性が高い

Webサーバーとしてのシェアは圧倒的ですが、一般的なデスクトップOSとしてのシェアは低いため、Windowsを標的としたマルウェアの影響を受けにくいという特徴があります。

ただし、サーバーとして公開する場合は適切なセキュリティ設定（ファイアウォール設定など）が必須となります。

Pythonインストールの前提条件

Pythonを快適に動作させるためのシステム要件を確認しておきましょう。

サポートOSとハードウェア

Pythonはクロスプラットフォームに対応しており、Linux（Ubuntu、Fedora、CentOSなど）、Windows、macOSで動作します。

メモリ (RAM)	最低4GB以上（AIモデルを扱う場合は16GB以上推奨）
ストレージ	Python自体は5GB程度あれば十分ですが、ライブラリやデータセットに応じて容量を確保してください。

Python 2系と3系の違い（重要）

Pythonには、大きく分けてPython 2.x系とPython 3.x系があります。

Python 2系は2020年に公式サポートが終了しています。現在、新規で開発や環境構築を行う場合は、必ずPython 3.x系を使用してください。

それぞれに互換性がない部分があるため注意が必要です。参考までに、記述方法の代表的な違いを紹介します。

記述方法の違い（print関数）

画面に文字を表示する際の記述が異なります。3系では関数として扱われるため、カッコ()が必要です。

• Python 2.x系: print "Hello, world"
• Python 3.x系: print("Hello, world")

数値計算の違い

割り算の挙動が異なります。2系では整数同士の割り算は整数（切り捨て）になりますが、3系では小数（float）として正確に計算されます。

• 計算式: 10 / 3
• Python 2.x系: 3 (整数として出力)
• Python 3.x系: 3.3333333333333335 (浮動小数点として出力)

Linux(Ubuntu)にPythonをインストールする手順

ここからは実際にUbuntu環境へPythonをインストールする手順を解説します。

1. Pythonがインストール済みか確認する

多くのLinuxディストリビューションにはPythonが最初から入っています。まずはターミナルを開き、以下のコマンドでバージョンを確認しましょう。

python3 --version

以下のようにバージョン番号が表示されれば、インストール済みです。

もし「command not found」などのエラーが表示された場合は、以下の手順でインストールを行います。

2. パッケージマネージャーでインストール（推奨）

最も簡単で安全な方法は、OS標準のパッケージマネージャーを使用することです。

Ubuntu / Debianの場合

以下のコマンドを1行ずつ実行してください。

sudo apt update sudo apt install python3 python3-pip

※python3-pipは、Pythonのライブラリを管理するためのツールです。Dify等の構築で必要になるため、一緒にインストールすることをお勧めします。

Fedora / CentOSの場合

sudo dnf install python3

3. ソースコードからコンパイルする（上級者向け）

特定の最新バージョンが必要な場合など、パッケージマネージャーで対応できない時はソースコードからインストールします。

※通常はパッケージマネージャー経由（上記の手順2）で十分です。

公式サイトからソースコードを取得し、ビルドを行います。

git clone https://github.com/python/cpython cd cpython ./configure make sudo make install

複数のPythonバージョンを切り替える方法

システム内に複数のPythonバージョン（例：Python 3.8とPython 3.10）が共存している場合、使用するバージョンを切り替える設定が必要です。

Ubuntu/Debian系：update-alternativesの使用

update-alternativesコマンドを使用すると、優先順位をつけてバージョン管理ができます。

1. Pythonのインストール場所を確認

which python3.10 which python3.8

2. 優先順位を登録する

末尾の数字が優先順位です（数字が大きいほど優先されます）。

sudo update-alternatives --install /usr/bin/python3 python3 /usr/bin/python3.8 1 sudo update-alternatives --install /usr/bin/python3 python3 /usr/bin/python3.10 2

3. 使用するバージョンを切り替える

sudo update-alternatives --config python3

表示されたリストから、使用したいバージョンの「Selection」番号を入力してEnterキーを押すことで、システムで使用するPythonのバージョンが切り替わります。

まとめ

Linux環境へのPythonインストールは、DifyをはじめとするAIシステム構築の第一歩です。

• Linuxは軽量でコストパフォーマンスが良いため、AIサーバーに適している。
• Python 3.x系を使用することが必須。
• インストールはパッケージマネージャー（aptやdnf）を使うのが最も簡単で確実。

この環境が整えば、Difyのローカルインストールやその他のAIツールの導入がスムーズに行えます。ぜひトライしてみてください。