「ChatGPTは便利だけど、自社の製品情報や社内ルールについては答えてくれない…」
「マニュアルのPDFをAIに読み込ませて、自動で回答してくれるボットを作りたい!」
もしあなたがそう考えているなら、Difyの「RAG(ラグ)」機能がその悩みを解決します。
RAGとは、AIに「カンニングペーパー(自社の資料)」を渡して、それを見ながら回答させる技術のことです。
この記事では、AI初心者の方でも迷わずに社内独自のAIボットを作れるよう、DifyでのRAG構築手順をゼロから徹底解説します。
そもそもRAGとは?なぜ必要なのか
一般的なAI(ChatGPTなど)は、インターネット上の一般的な知識しか持っていません。
そのため、「弊社の就業規則について教えて」と聞いても、「一般的な就業規則とは…」という回答しか返ってきません。
RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)を使うと、AIは以下のステップで回答します。
- 検索(Retrieval):ユーザーの質問に関連する情報を、事前に登録された社内資料から探し出す。
- 拡張(Augmented):見つけた情報を「参考資料」としてAIに渡す。
- 生成(Generation):AIはその資料を元に、正確な回答を作成する。
つまり、「嘘をつかせず、社内ルールに則った正確な回答」をさせるための必須技術なのです。
STEP 1:AIの教科書を作る(ナレッジベース作成)
まずは、AIに学習させたいデータをDifyに登録します。
1. 「ナレッジ」を作成する
Difyの管理画面上部メニューから「ナレッジ」を選択し、「ナレッジを作成」ボタンをクリックします。
2. ファイルをアップロードする
学習させたい資料をアップロードします。以下の形式に対応しています。
- テキストファイル(PDF, Word, TXT, Markdownなど)
- Webサイト(URLを指定して同期)
- Notion(連携して直接読み込み)
3. データの処理設定(チャンキングとベクトル化)
アップロードすると、DifyがデータをAIが読みやすい形に自動加工してくれます。
基本的には「自動」設定のままでOKですが、精度を上げたい場合は「カスタム」で細かく設定することも可能です。
「保存して処理」をクリックすれば、AIの教科書(ナレッジベース)の完成です!
STEP 2:チャットボットに知識を組み込む
作った教科書を、チャットボットに持たせます。
1. 「知識検索」ノードを追加する
「スタジオ」から「チャットフロー」形式でアプリを作成します。
ワークフロー編集画面で、「開始」ノードと「LLM」ノードの間に「知識検索(Knowledge Retrieval)」ノードを追加します。

2. ナレッジを紐付ける
「知識検索」ノードの設定画面で、「追加」ボタンを押し、先ほど作成したナレッジベースを選択します。
3. プロンプトで指示を出す
「LLM」ノードをクリックし、プロンプト欄に以下のように記述します。
{{knowledge}} という変数が重要です。ここに検索結果が自動的に挿入されます。
# 指示 以下の参考資料 {{knowledge}} の内容のみに基づいて、ユーザーの質問 {{user_input}} に回答してください。
制約
資料にない情報は「わかりません」と答えること。
事実に基づかない回答(ハルシネーション)は禁止です。
STEP 3:回答精度を劇的に上げる「Rerank」設定
「資料を入れたのに、AIが的確な部分を見つけてくれない…」
そんな時は、検索精度を上げるための設定を行いましょう。
ハイブリッド検索 + Rerankモデル
「知識検索」ノードの設定で、以下の組み合わせにするのが最強の構成です。
- 検索設定:「ハイブリッド検索」(キーワード一致と意味検索の両方を行う)
- Rerankモデル:「有効化」する
Rerank(リランク)とは?
検索で見つかった複数の候補の中から、「本当に質問に関係あるもの」をAIが再審査して並び替える機能です。
これを使うには「Cohere」などの外部APIキー設定が必要ですが、回答の精度が段違いに良くなるため、実務で使うなら必須の設定です。
まとめ:自社専用AIで業務を自動化しよう
DifyのRAG機能を使えば、プログラミング知識がなくても、自社のマニュアルやノウハウを完璧に理解したAIアシスタントを作成できます。
- 社内FAQボット
- カスタマーサポートの自動化
- 新人研修用の質問対応ボット
これらをシステム化することで、人間は「調べる時間」から解放され、より創造的な業務に集中できるようになります。
ぜひ、あなたの会社だけの「最強のAIパートナー」を育ててみてください。
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