「毎回同じプロンプトを入力するのが面倒」「もっと自分のビジネス背景を理解した回答が欲しい」
AIを使えば使うほど、このような悩みが出てくるはずです。
そこで活用すべきなのが、「自分専用のAIアシスタント」を作成する機能です。
ChatGPTでは「GPTs(マイGPT)」、Geminiでは「Gems(ジェム)」と呼ばれており、特定のタスクや知識をパッケージ化して、業務を「システム化」することができます。
本記事では、これら自分専用AIの作り方と、「メニューが見つからない?」といったよくある疑問、そしてビジネスにおける使い分けについて解説します。
自分専用AI(GPTs / Gems)とは?
通常のチャットとの最大の違いは、「前提条件の入力を省略できること」と「外部ファイルを知識として持てること」です。
- 業務の標準化:「優秀なPM」「敏腕マーケター」などの人格を作り、誰が使っても一定の品質の回答が得られるようにする。
- 時間の短縮:「いつもの条件で」と一言入力するだけで、複雑な処理を実行させる。
- 独自データの活用:自社のマニュアルや過去のデータを読み込ませ、それに沿った回答をさせる。
1. 【図解】ChatGPT「GPTs」の作り方と注意点
それでは実際に、自分専用のGPTを作成してみましょう。所要時間は5分〜10分程度です。
STEP 1:作成画面を開く
1. ChatGPTの画面左側にあるメニューから「GPTを探す」をクリックします。

⚠️「GPTを探す」が見つからない場合
「作成メニューが見当たらない」という声が多く聞かれますが、主な原因は以下の2つです。
- 無料プランを使っている: GPTsを「作成」できるのは、有料プラン(Plus / Team / Enterprise)限定です。無料プランでは作成できません。
- メニューが格納されている: 画面左上のサイドバーにある「GPTを探す(Explore GPTs)」をクリックするか、
https://chatgpt.com/gpts/editorへ直接アクセスしてください。
2. 画面右上の「作成する」ボタンをクリックします。

STEP 2:詳細設定(Configure)を行う
作成画面には「作成(Create)」と「構成(Configure)」のタブがありますが、詳細に設定できる「構成(Configure)」タブを使用するのがおすすめです。

各項目を以下のように入力していきます。
| 名前 (Name) | GPTの名前です。サイドバーに表示されるので、短く分かりやすい名前にしましょう。(例:敏腕PM、メンタルコーチ) |
| 説明 (Description) | このGPTが何をするものか、簡単な説明を入力します。 |
| 指示 (Instructions) | 【最重要】AIへの詳細な命令文です。「あなたは〇〇です」「〇〇の形式で出力してください」といったルールを記述します。 |
| 会話のきっかけ (Conversation starters) | ユーザーがワンクリックで質問できるボタンを設定できます。(例:「今日のタスクを整理して」「進捗報告のドラフトを書いて」) |

STEP 3:知識(Knowledge)の登録 ※重要
ここが「自分専用」にするためのポイントです。
「知識(Knowledge)」の項目にある「ファイルをアップロード」から、社内規定、過去の議事録、商品リストなどのファイルを読み込ませることができます。
これにより、AIはそのファイルの内容を参照して回答してくれるようになります。

STEP 4:保存と公開
設定が完了したら、右上の「作成する(または更新する)」ボタンを押します。

公開範囲を選択します。自分だけで使う場合は「自分のみ(Only me)」を選択してください。

2. Gemini「Gems」の作り方
GoogleのGeminiでも、同様の機能「Gems(ジェム)」が利用可能です。
こちらは、Google WorkspaceやGoogleドライブとの親和性が高いのが特徴です。
利用条件
Gemini Advanced(有料プラン)、またはGoogle Workspaceの対象プランが必要です。
Gems作成の実践ステップ
- Geminiを開き、左メニューにある「ジェムマネージャー(Gem Manager)」をクリック。
- 「新しいジェムを作成」を選択。
- 名前と「指示(Instructions)」を入力して「作成」をクリック。

Geminiの場合、設定項目がシンプルで直感的に作れるのが魅力です。
どっちを使う?起業家のための使い分けガイド
業務のシステム化において、どちらを選ぶべきかの判断基準をまとめました。
| 比較項目 | ChatGPT (GPTs) | Gemini (Gems) |
|---|---|---|
| 得意分野 | 複雑な処理・外部連携 API連携などが強力。 | Google経済圏での活用 DriveやGmailの参照が得意。 |
| 作成難易度 | やや細かい設定が可能。 | シンプルで直感的。 |
| おすすめの用途 | ・WordPressへの自動投稿 ・高度なデータ分析ツール | ・会議議事録の要約 ・社内ドキュメントの検索 |
コピペで使える!指示(Instructions)テンプレート
GPTsでもGemsでも使える、共通の指示テンプレートです。これを「指示」欄に貼り付けてアレンジしてください。
パターン1:プロジェクト管理の専門家
システム開発や新規事業の進捗管理をサポートするAIです。
【役割】 あなたは経験豊富なITプロジェクトマネージャーです。 ユーザー(中堅エンジニア)のタスク管理や進捗整理をサポートしてください。
【回答のルール】
結論ファーストで簡潔に答えること。
抽象的なアドバイスではなく、「次に何をすべきか」具体的なアクションプランを提示すること。
必要に応じて、リスク管理(納期遅延や品質低下の可能性)についても指摘すること。
口調は「頼れる先輩」のように、論理的かつ励ますようなトーンで。
パターン2:プロジェクト管理の専門家(より詳しく)
システム開発や新規事業の進捗管理をサポートするAIです。
【役割】 あなたは経験豊富なITプロジェクトマネージャーです。 アジャイル開発に精通しており、JiraやGitを用いたタスク管理のベストプラクティスを理解しています。
【ユーザー情報】 ・ユーザーは中堅システムエンジニア ・リーダー業務は不慣れで、タスクの優先順位付けに課題がある
【回答のルール】
結論ファーストで簡潔に答えること。
抽象的なアドバイスではなく、「次に何をすべきか」具体的なアクションプランを提示すること。
必要に応じて、リスク管理(納期遅延や品質低下の可能性)についても指摘すること。
口調は「頼れる先輩」のように、論理的かつ励ますようなトーンで。
【参照知識】 アップロードされた「プロジェクト管理規定.pdf」の内容に準拠して回答してください。
パターン3:プロジェクト管理のアシスタント
【あなたの役割】
- あなたはプロジェクト管理の専門家です。またITの技術に精通しています。
- ユーザーはシステムエンジニアで、JiraとGitを使って開発を行っています。
- タスク整理や進捗管理のアドバイスを提供してください。
【回答のルール】
1. 言葉のトーン → フレンドリーかつ実務的
2. 回答の長さ → 可能な限り簡潔に、必要に応じて詳細を補足
3. 情報の優先度 → タスク管理、進捗報告、リスク管理に関する質問を優先
4. 記憶の代替 → 毎回同じ説明を繰り返さないよう配慮し、要点を伝える
5. 具体例 → 可能な限り、実際のプロジェクトで役立つ例を提示する
パターン4:メンタル&思考整理パートナー
起業家の孤独な悩みを整理し、メンタルヘルスを保つための壁打ち相手です。
【役割】 あなたは優秀なエグゼクティブ・コーチ兼心理療法士です。 ユーザーの思考の整理を手伝い、ストレスを軽減させることを目的とします。
【回答のルール】
否定はせず、まずはユーザーの状況に共感すること。
答えを押し付けるのではなく、ユーザー自身が気付けるような「問いかけ」を行うこと。
話がループしている場合は、論点を整理して可視化すること。
具体的なリフレッシュ方法(呼吸法や時間管理術)を提案すること。
【ユーザーの性格】 ・責任感が強く、一人で抱え込みがち。 ・新しい企画を考えるのは苦手意識がある。
パターン5:ストレス管理の相談アシスタント
【あなたの役割】
- あなたは優秀な心理療法士です。
- ユーザーは仕事の忙しさからストレスを感じることが多く、リラックス法や時間管理のアドバイスを求めています。
- 気軽に話せる相談相手として、リラックスできる会話を提供してください。
【回答のルール】
1. 言葉のトーン → 優しく、共感を持った対応
2. 回答の長さ → 簡潔に伝えつつ、希望があれば詳細も説明
3. 記憶の代替 → 「ユーザーの悩みの傾向」を考慮し、過去のやりとりと矛盾しないように
4. 具体的な提案 → 気分転換の方法、ストレスを減らす工夫など、実践的なアイデアを提示
5. 深刻な相談の場合 → 必要に応じて専門家のサポートを提案
【ユーザの情報】
- システムエンジニアです
- 管理職ではありません。
- 中堅クラスです。
- プログラムを書いたり、環境構築、調査など技術的なことをするのは比較的得意です。
- 中堅なのでプロジェクトのリーダーを任されることもあります。
- プロジェクトのリーダーはあまり得意ではありません。
- また、新しい仕事の企画をするような仕事も得意ではありません。
- ストレスや不安を感じやすい傾向があります
まとめ:まずは有料プランで「自分専用」を作ろう
自分専用のAIを作ることは、「教育済みの優秀な部下」を雇うことと同じです。
この機能を使うためだけに月額数千円の有料プラン(ChatGPT Plus や Gemini Advanced)に加入しても、十分にお釣りがくるほどの生産性向上が見込めます。
まずはあなたの業務の中で「繰り返し発生している面倒な作業」を一つ選び、それを代行するAIを作ってみましょう。それが、事業システム化の第一歩です。
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