チャットボットを運用する際、「製品に関する質問」と「一般的な相談」、あるいは「雑談」を区別して、それぞれ適切なデータから回答させたいと思ったことはありませんか?
Difyの「Question Classifier + Knowledge + Chatbot」テンプレートは、ユーザーの質問意図をAIが自動で分類し、それぞれの質問に最適なナレッジベース(知識庫)を参照して回答する、非常に汎用性の高いワークフローです。
この記事では、ミラーマスター合同会社が提供する相続相談サービス「簡単 そうぞくん」でも実際に採用されているこの仕組みについて、内部構成と構築手順を詳細に解説します。
Question Classifier + Knowledge + Chatbotとは:意図を理解するRAGボット
このテンプレートの最大の特徴は、質問内容に応じて「参照する辞書(ナレッジ)」を切り替える点です。
単一のナレッジベースですべてを回答しようとすると、無関係な情報が混ざり込んだり、AIが混乱したりする原因になります。
このテンプレートでは、最初に「質問分類器(Question Classifier)」を通すことで、例えば「相続税の計算方法」なら専門知識へ、「ツールの使い方」なら製品マニュアルへと、的確なルート案内を行います。
Difyで構築する機能概要
本テンプレートでは、以下のロジックで回答を生成します。
- 質問の分類:LLMが質問内容を分析し、事前に定義したカテゴリー(相続、製品、その他)に振り分けます。
- 知識検索(RAG):分類されたカテゴリーに対応する特定のナレッジベースから情報を検索します。
- 回答生成:検索された知識を元に、ユーザーへの回答を作成します。対象外の質問には回答を拒否します。

【重要】最適化モデルのワークフロー詳細(ノード表)
このテンプレートは、実運用されている「簡単 そうぞくん」の構成をベースにしており、高速なGemini Flashモデルを活用しています。
以下は、実際に動作する完成版モデルの全ノード構成と設定内容です。
| アイテム名(ノード名) | 処理内容・設定詳細 | |
|---|---|---|
| 開始 (Start) | ワークフローの開始 ユーザーからの入力(質問文)を受け付け、初期パラメータを定義します。 | |
| 質問分類器 (Question Classifier) | 意図の振り分け(使用AI:Gemini 1.5 Flash) ユーザーの質問を以下の3つのクラスに分類します。 1. 相続に関する一般的な質問:法律や税金の手続きなど。 2. 『簡単相続ナビ』に関する一般的な質問:自社ツールの操作や仕様など。 3. 相続以外の質問:上記に当てはまらない雑談や無関係な質問。 | |
| 【ルート1:相続に関する一般的な質問】 | ||
| ∟ 知識検索 (Knowledge Retrieval) | 外部知識の取得 ナレッジベース「相続税119番」を参照し、質問に関連する法律や税務の知識を検索・取得します。 | |
| ∟ LLM (LLM) | 回答生成(使用AI:Gemini 2.5 Flash) 検索されたコンテキスト(知識)を元に回答を作成します。 制約事項: ・わからない場合は正直に伝える。 ・コンテキストから得たとは言及しない。 ・ユーザーの言語に合わせて回答する。 | |
| ∟ Answer 2 (Answer) | 生成された相続に関する回答をユーザーに表示します。 | |
| 【ルート2:『簡単相続ナビ』に関する質問】 | ||
| ∟ 知識検索 (Knowledge Retrieval) | 製品知識の取得 ナレッジベース「『簡単相続ナビ』」を参照し、ツールの仕様や操作方法に関する知識を検索・取得します。 | |
| ∟ LLM (LLM) | 回答生成(使用AI:Gemini 2.5 Flash) 製品知識を元に、サポート担当として回答を作成します。 ※ルート1と同様の制約事項を適用し、ハルシネーション(嘘)を防ぎます。 | |
| ∟ Answer 3 (Answer) | 生成された製品サポート回答をユーザーに表示します。 | |
| 【ルート3:相続以外の質問】 | ||
| ∟ Answer (Answer) | 回答拒否 「申し訳ありませんが、これらの質問にはお答えできません。」と表示し、専門外の話題には対応しないことでボットの品質を保ちます。 | |
Difyでこの構成を構築・有効化する手順
以下の手順で、質問分類機能付きのチャットボットを自身のワークスペースに導入できます。
- ナレッジの準備:Difyの「ナレッジ」タブで、回答の元となるドキュメント(PDFやWebサイトのテキスト)をインポートし、ナレッジベースを作成しておきます。
- テンプレート選択:「探索」から「Question Classifier」を含むテンプレートを選択するか、空白からワークフローを作成します。
- 分類器の設定:「質問分類器」ノードを開き、自社の業務に合わせたクラス(カテゴリ)を定義します。
- ナレッジの紐付け:各ルートの「知識検索」ノードで、STEP1で作成した適切なナレッジベースを選択します。
- 動作確認:プレビューで異なる種類の質問を投げ、正しくルート分岐して回答されるかテストします。
このテンプレートを活用するメリット
「何でも答える」ではなく「専門分野に特化して正確に答える」ボットが作れます。
- 回答精度の向上:質問内容に関連するナレッジだけを参照するため、無関係な情報が混ざらず、正確な回答が可能です。
- リスク管理:「専門外の質問」を明確に弾くことができるため、AIが不適切な回答をするリスクを低減できます。
- メンテナンス性:「法律の知識」と「製品の知識」を分けて管理できるため、情報の更新や修正が容易になります。
まとめ
Question Classifier + Knowledge + Chatbotテンプレートは、企業のカスタマーサポートや社内ヘルプデスクなど、複数のトピックを扱うAIアシスタントにとって「必須」とも言える構成です。
「簡単 そうぞくん」のように、専門性が高く、かつ自社サービスの案内も必要なシーンで最大の効果を発揮します。
ミラーマスター合同会社では、このテンプレートをベースにした貴社専用のナレッジベース構築や、より複雑な条件分岐を含むワークフロー開発も承っております。高精度なRAGチャットボットの導入をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
【推奨】業務システム化に有効なアイテム
生成AIを学ぶ



システム化のパートナー(ミラーマスター合同会社)



VPSサーバの選定





コメント