AIチャットボットを開発・運用する際、最も懸念されることの一つが「不適切な発言」や「悪意ある入力への対策」ではないでしょうか。
今回は、ノーコードAI開発プラットフォーム「Dify」に標準搭載されているモデレーション機能を使って、安心・安全なチャットボットを構築する方法を解説します。
モデレーション機能とは?
モデレーション(Moderation)とは、「節度」や「適度」を意味し、IT分野では不適切なコンテンツを監視・排除する仕組みを指します。
ブログやSNS、インターネット上の記事に投稿された読者によるコメントに対し、管理者が内容をチェックしたり、別の読者が評価付けをしたりすること。また、その仕組み。不適切な投稿を除外するはたらきがある。
コトバンクより引用
Difyでは、主に以下の3つの方法でモデレーションを行うことができます。
- キーワードによる制御(特定の単語を禁止)
- OpenAI Moderation APIの利用(AIによる自動判定)
- 独自のモデレーションAPIの利用(自社システムとの連携)
モデレーション機能の活用シーン
ビジネスでAIチャットボットを導入する場合、以下のようなリスク管理が必須となります。
- 不適切なコンテンツの排除: 暴力、性的表現、差別的な発言を防ぐ。
- コンプライアンス遵守: 法律違反や社内規定に触れる回答をブロックする。
- ブランド保護: 競合他社の製品名や、ブランドイメージを損なう発言を制御する。
- セキュリティ対策: プロンプトインジェクション(AIを騙して不適切な出力をさせる攻撃)を防ぐ。
- 文化的配慮:文化的に敏感な表現をフィルタリングする。
考えれば考えるほどモデレーションは必要なものですね。
設定手順:Difyでモデレーションを有効にする
それでは、実際のDify画面を見ながら設定していきましょう。
アプリの設定画面から「機能を追加」→「コンテンツモデレーション」を選択します。

1. キーワードによるモデレーション
特定の単語が含まれていた場合に、あらかじめ設定したメッセージ(「不適切な内容が含まれています」など)を返す設定です。
例えば、競合他社の商品名や、特定の隠語などを登録しておくと効果的です。

設定後、禁止ワード(例:「きのこの山」)を含む質問を投げると、設定通りにブロックされました。

2. OpenAI Moderation APIによるモデレーション
OpenAIが提供する高性能なモデレーションAPIを利用する方法です。
以下のカテゴリに該当する内容を自動的に検出し、ブロックしてくれます。
- 暴力(Violence)
- 性的表現(Sexual)
- 自傷行為(Self-harm)
- ヘイトスピーチ(Hate/Threatening)
- ハラスメント(Harassment)
詳しくはOpenAI公式サイトをご参照ください。

実際に不適切な入力を行うと、OpenAIの基準に基づいて自動的にブロックされます。
(※テストの際はアカウントBANのリスクがあるため、極端な入力は避けましょう)

まとめ
Difyのモデレーション機能を使えば、キーワードによる「自社独自のルール」と、OpenAIによる「一般的な倫理基準」の両方を簡単に適用できます。
企業のチャットボット運用において、リスク管理は非常に重要です。ぜひこの機能を活用して、安全で信頼できるAIサービスを構築してください。
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