はじめに:AIで「推し」と会話する夢を実現する
「自分が作ったゲームのキャラクターと、リアルタイムで会話してみたい」
ゲーム開発者やクリエイターなら一度は夢見たことがあるのではないでしょうか。
今回は、OpenAIの最新機能「Realtime API」と、ノーコードAI基盤「Dify」を組み合わせることで、低遅延かつ高精度なキャラクター対話システムを構築する方法をご紹介します。
システム構成と仕組み
本システムは、以下の技術要素で構成されています。
- FastAPI(Python): 全体を制御するバックエンドサーバー
- OpenAI Realtime API: リアルタイムな音声認識と応答生成
- Dify(Docker版): キャラクターの設定やシナリオ知識(RAG)の管理
- にじボイス(API): キャラクターらしい声での音声合成

実装のポイント
1. Realtime APIの制御
OpenAIのRealtime APIを使用しますが、今回は応答の音声品質をこだわりたいため、モデルからの出力を「テキストのみ」に制限し、音声合成は別のAPI(にじボイス)を使用する構成にしました。
※セッション作成時に modalities: ["text"] を指定することで、無駄なトークン消費を抑えられます。
2. Difyによるナレッジ検索(RAG)
キャラクターに独自の知識を持たせるために、Difyの「ナレッジ機能」を活用します。
原作シナリオやキャラクター設定資料をDifyにアップロードし、API経由で検索できるように設定します。
これにより、「あなたの誕生日は?」「あの時の戦いについて教えて」といった質問に対し、設定資料に基づいた正確な回答が可能になります。

3. Tool(関数呼び出し)の実装
会話の中でDifyのナレッジを参照する必要がある場合、Realtime APIの「Function Calling」機能を使用します。
ユーザーの質問内容に応じて、自動的にDifyの検索APIを叩き、その結果を会話コンテキストに含める処理を実装します。
// Tool呼び出しの処理例(TypeScript) if (message.name === "retrieve_knowledge") { const obj = JSON.parse(message.arguments); const result = await fetchKnowledgeContent(obj.query); // Dify APIへリクエスト // 結果をAIに返す処理... }
実際に動かしてみて分かったこと
コストと制限:
Realtime APIは非常に強力ですが、Rate Limit(利用制限)に引っかかりやすい点に注意が必要です。開発段階ではこまめなテストを推奨します。
応答速度とUX:
Difyへの問い合わせや音声合成の処理が入るため、若干の待ち時間が発生します。この間、キャラクターに「検索中モーション」を取らせるなどの演出を入れることで、体感的な遅延を軽減できるでしょう。
まとめ
Difyをバックエンドの知識ベースとして活用することで、複雑な設定を持つキャラクターでも容易にAI化することが可能です。
今後、デバイス上で動作する軽量なモデル(SLM)が普及すれば、さらに低遅延でリアルな対話体験が実現できるかもしれません。
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