Difyを使ったワークショップや社内研修を開催する際、頭を悩ませるのが「参加者のユーザー登録」です。
数十人、数百人規模になると、招待リンクを手作業で送ったり、登録状況を確認したりするだけで膨大な時間がかかってしまいます。
特に、システムからのメール送信が制限されている環境では、この「招待」プロセスが大きなボトルネックになります。
そこで今回は、Difyの管理者ユーザーを一括で自動登録し、招待URLをリスト化するツールを開発しました。Playwrightを活用したこのツールの導入手順とメリットをご紹介します。
なぜ「一括登録ツール」が必要なのか?
Dify標準のユーザー招待機能には、大規模運用においていくつかの課題があります。
- メール送信の制限: 社内規定でSMTPサーバーが使えない場合、招待メールが送れません。
- 手作業のミス: 個別に招待リンクをコピペして配布するのは、転記ミスの温床です。
- 準備時間の圧迫: 100名規模の登録を手動で行うと、準備だけで半日仕事になってしまいます。
今回開発したツールは、CSVファイルにリストアップしたユーザー情報を読み込み、ブラウザ操作を自動化してDifyに管理者として登録します。さらに、生成された招待URLをCSVファイルとして出力するため、配布もスムーズに行えます。
ツールの概要と機能
このツールは、ブラウザ操作自動化フレームワークであるPlaywrightを使用しています。
Playwright(プレイライト)とは、Microsoftが開発したWebアプリケーションのテストやブラウザ操作を自動化するためのオープンソースフレームワークです。
主な機能
- 管理者アカウントの一括登録: CSVファイル(メールアドレス、名前、パスワード)から自動登録。
- 招待URLのリスト化: 登録時に発行される招待URLを取得し、CSVに保存。
- 削除用SQLの生成: テスト登録したユーザーを削除するためのSQL文を自動生成。

ソースコードはGitHubで公開しています。
👉 potofo/dify-admin-automator (GitHub)
導入手順
Windows環境での導入例を解説します。前提としてNode.jsがインストールされている必要があります。
Node.js(ノードジェイエス)とは、本来ブラウザで動くJavaScriptをサーバーサイド(サーバーやPCのOS上)で実行できるようにする「実行環境(ランタイム環境)」です。
1. リポジトリのクローンとインストール
コマンドプロンプトやターミナルで以下のコマンドを実行し、ツールをダウンロードして準備します。
git clone https://github.com/potofo/dify-admin-automator
cd dify-admin-automator
npm install
npx playwright install msedge
2. 設定ファイルの準備
.env.example をコピーして .env ファイルを作成し、ご自身のDify環境に合わせて編集します。
BASE_URL=http://localhost # DifyのURL
OWNER_EMAIL=admin@example.com # 所有者のメールアドレス
OWNER_PASSWORD=secret_pass # 所有者のパスワード
ADMIN_LISTCSV=admin_list.csv # ユーザーリストのファイル名
3. ユーザーリストの作成
admin_list.csv に、登録したいユーザー情報を記載します。
E-Mail,name,password user1@example.com,User1,"pass1234" user2@example.com,User2,"pass5678"
4. ツールの実行
以下のコマンドで自動登録を開始します。
npx playwright test
実行が完了すると、registration_url.csv に招待URLが出力されます。あとはこのURLを参加者に配布するだけです。
注意点:登録ユーザーの削除について
Difyの管理画面からは、一度作成したアカウントを完全に削除することができません。
テストなどで登録したユーザーを消したい場合は、データベース(PostgreSQL)を直接操作する必要があります。
本ツールを実行すると、remove_sql.txt というファイルに削除用のSQL文が自動生成されます。
※既にチャットボットなどを作成済みのユーザーを削除するとデータの整合性が崩れる可能性があるため、登録直後の初期化以外の目的では使用しないでください。
まとめ
このツールを活用することで、Difyワークショップの準備時間が大幅に短縮され、運営側も参加者もストレスなく本題に入ることができるようになりました。
社内でのAI活用推進において、こうした「運用の自動化」は非常に重要なポイントです。ぜひ活用してみてください。
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