Difyサーバーの設定ファイルを管理したり、プログラミング学習を進めたりする上で、GitHubは欠かせないツールです。そのGitHubを使い始める第一歩が「クローン (Clone)」です。
「クローンのコマンドは理解したけど、なぜかうまくいかない…」 「HTTPSとSSHって何が違うの?」
この記事では、GitHubの「クローン」機能の基本から、fork との違い、主要な通信方式、そしてクローンに失敗したときの対処法まで、初心者向けに詳しく解説します。
1. クローン (Clone) とは?
クローンとは、GitHub上にあるリモートリポジトリ(保管庫)を、そのまま自分のローカル環境(自分のPC上)へ複製(コピー)する機能です。
クローンを行うことで、初めて自分のPC上でコードを編集したり、Difyの設定ファイルを追加したりする作業を開始できます。
2. 「クローン (Clone)」と「フォーク (Fork)」の違い
初心者が混同しやすい機能に「フォーク (Fork)」があります。どちらも「複製」ですが、複製する場所が決定的に異なります。
- クローン (Clone)
- 場所: リモートリポジトリ(GitHub上) → ローカルリポジトリ(自分のPCへ)
- 目的: 開発作業を自分のPCで開始するため。
- フォーク (Fork)
- 場所: 他人のリモートリポジトリ → 自分のリモートリポジトリ(GitHub上で完結)
- 目的: 他人が管理するプロジェクト(オープンソースなど)に貢献(プルリクエスト)する準備として、まず自分用のコピーをGitHub上に作るため。
一般的なオープンソース開発の流れ: 他人のリポジトリを フォーク (自分のGitHubへ) → 自分のリポジトリを クローン (自分のPCへ) → PCで編集 → プッシュ (自分のGitHubへ) → プルリクエスト (他人のリポジトリへ変更提案)
3. 通信方式の違い(HTTPS方式 vs SSH方式)
リポジトリをクローンする際、主に2つの通信方式(プロトコル)を選びます。
① HTTPS方式(推奨)
- 特徴: GitHubが推奨している方式です。一般的なWebサイト閲覧と同じ
https://の通信を使うため、会社のファイアウォールなどにブロックされにくいのが特徴です。 - 認証: クローンは誰でもできますが、
push(変更をアップロード)する際にGitHubのユーザー名とパスワード(またはトークン)による認証が求められます。(PCに認証情報を保存すれば初回のみでOK) - URLの例:
https://github.com/<ユーザー名>/<リポジトリ名>.git
② SSH方式
- 特徴: 通信が暗号化され、安全性が高い方式です。
- 認証:
push時にパスワード入力が不要になりますが、その代わりに「SSHキー」(公開鍵と秘密鍵)という認証用の鍵ペアを事前に作成し、自分のPCに「秘密鍵」を、GitHubアカウントに「公開鍵」を登録しておく必要があります。 - URLの例:
git@github.com:<ユーザー名>/<リポジトリ名>.git
どちらを選ぶべき?
- 初心者の方、すぐ使いたい方: まずは HTTPS方式 をお勧めします。
- Difyサーバー運用など本格的に使う方: 初期設定は少し手間ですが、パスワード入力が不要になる SSH方式 が最終的には便利です。
(※ git:// 方式は認証機能がなくセキュリティが担保されないため、現在では非推奨です)
4. リモートリポジトリのクローン方法
基本コマンド
どの方式でも、基本となるコマンドは同じです。
# 基本形
git clone <リポジトリのアドレス>
# 保存するフォルダ名を指定する場合
git clone <リポジトリのアドレス> <ディレクトリ名>
<ディレクトリ名> を省略すると、今いるディレクトリ(フォルダ)の中に、リポジトリ名と同じ名前のディレクトリが自動的に作成され、その中にファイルがクローンされます。
リポジトリのアドレスを取得する方法
- クローンしたいGitHubのリポジトリページを開きます。
- 緑色の「Code」ボタンをクリックします。
- 「HTTPS」または「SSH」のタブを選び、表示されたURLの右にあるコピーアイコンをクリックします。
実行例 (HTTPS方式)
# ターミナル(Git Bashなど)で、クローンしたい場所(例: デスクトップ)に移動
cd Desktop
# GitHubからコピーしたHTTPSのURLを使ってクローンを実行
git clone
![]()
https://github.com/dify-ai/dify.git(https://github.com/dify-ai/dify.git)
# 実行結果
# Cloning into 'dify'...
# remote: Enumerating objects: ... done.
# remote: Counting objects: ... done.
# remote: Compressing objects: ... done.
# remote: Total ... (delta ...), reused ... (delta ...), pack-reused ...
# Receiving objects: ... done.
# Resolving deltas: ... done.
# これでデスクトップに 'dify' というフォルダが作成され、中身が複製されます
5. 特定のブランチを指定してクローンする方法
通常、クローンはデフォルトブランチ(main や master)のみをローカルにコピーしますが、-b オプションを使うと特定のブランチを指定してクローンできます。
# "develop" ブランチを指定してクローンする例
git clone -b develop
![]()
https://github.com/dify-ai/dify.git(https://github.com/dify-ai/dify.git)
6. クローンができない場合(トラブルシューティング)
クローンがうまくいかない場合、慌てずに以下を確認してください。
① 共通の確認事項
- リポジトリのアドレスが間違っていませんか?
- GitHubの「Code」ボタンからコピーしたURLが正しいか、貼り付けミスがないか再確認してください。
- 非公開(Private)リポジトリをクローンしようとしていませんか?(その場合、認証や権限が必要です)
② SSH方式でクローンできない場合 (最頻出)
SSH方式でエラーが出る(Permission denied など)場合、ほぼ全ての原因は「SSHキーが正しく設定されていない」ことです。
以下の手順で、SSHキーペアを作成し、GitHubに公開鍵を登録してください。
ステップ1: SSHキーペアの作成
(もし ~/.ssh/id_rsa.pub が既に存在する場合は、ステップ2へ)
- ターミナル(Git Bash)を開きます。
- 以下のコマンドを実行し、キーペア(
id_rsa:秘密鍵、id_rsa.pub:公開鍵)を作成します。# メールアドレスはご自身のものに変更してください ssh-keygen -t rsa -b 4096 -C "your_email@example.com" - 「Enter file in which to save the key…」と聞かれますが、そのままエンターキーを押します。(
~/.ssh/ディレクトリに保存されます) - 「Enter passphrase…」と聞かれますが、設定が面倒な場合はそのままエンターキーを2回押します。(パスフレーズなしで作成されます)
ステップ2: GitHubに公開鍵を登録
- 作成した「公開鍵(
id_rsa.pub)」の中身をクリップボードにコピーします。# Mac の場合 pbcopy < ~/.ssh/id_rsa.pub # Windows (Git Bash) の場合 clip < ~/.ssh/id_rsa.pub # 上記がうまく行かない場合 (catで表示して手動コピー) cat ~/.ssh/id_rsa.pub # ssh-rsa AAAAB3NzaC1yc2EAAA... という文字列を全てコピー


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