「独自ドメインでメールを使いたい!」と意気込んでGoogle Workspaceを導入したものの、設定画面に表示され続ける警告メッセージに不安を覚えていませんか?
特に多いのが、メールの送受信は問題なくできているのに、Google管理コンソールに**「MXレコードの設定をスキップ」**というメッセージが表示され続けるケースです。
「設定は合っているはずなのに、何が間違っているんだろう…」 「このまま使い続けて大丈夫?」
実害はないものの、管理画面を開くたびに表示される警告は、精神衛生上よくありません。この記事では、実際に発生したこのトラブル事例をもとに、原因の切り分け方から、この機会にぜひ実施しておきたいメールセキュリティ強化策までを具体的に解説します。
問題の状況:「MXレコードは正しいはずなのに…」
今回のケースでは、以下のような状況でした。
- Google Workspaceの初期設定を完了。
- ドメイン管理サービスのDNS設定画面で、指定されたMXレコードを正しく登録済み。
https://toolbox.googleapps.com/などの診断ツールを使っても、MXレコードは正しく設定されていると表示される。- テストメールの送受信も問題なくできている。
にもかかわらず、Google管理コンソールにだけ「MXレコードの設定をスキップ」というメッセージが表示され続けていました。
まず試すべき基本的なトラブルシューティング
このような状況に陥った場合、焦らずに以下の基本的なポイントを確認しましょう。多くの場合、これで解決するか、問題の切り分けができます。
ポイント1:DNSの反映を待つ(最大48時間)
DNS設定の変更がインターネット全体に行き渡るには、時間がかかる場合があります。特に設定直後は、Googleのシステムがまだ変更を検知できていないだけの可能性があります。最大で48時間ほど、焦らずに待ってみましょう。
ポイント2:ドメインの所有権証明を再確認する
MXレコードの設定とは別に、Google Workspaceでは「あなたがそのドメインの所有者であること」を証明する手続きが必要です。この設定が正しくないと、MXレコードを正しく認識できない場合があります。
認証方法はいくつかありますが、一般的には「TXTレコード」または「CNAMEレコード」をDNSに設定します。Google管理コンソールで表示される認証用のレコードが、ドメイン管理サービスのDNS設定画面に正しくコピー&ペーストされているか、今一度確認してみてください。
見落としがちなセキュリティ設定:SPFレコードの重要性
今回のトラブルシューティングの過程で、MXレコードとは別の重要な指摘がありました。それが**「SPFレコード」**の設定漏れです。
SPFレコードとは?
SPF(Sender Policy Framework)レコードは、あなたのドメイン(@your-company.com)を名乗ってメールを送信することを許可されたサーバーのリストを宣言するものです。これをDNSに設定しておくことで、受信側のメールサーバーは「このメールは正当な送信元から送られてきたものだ」と判断しやすくなります。
なぜSPFレコードが必要なのか?
もしSPFレコードが設定されていないと、悪意のある第三者があなたのドメインになりすまして、迷惑メールやフィッシング詐欺メールを送信しやすくなります。これは、あなたの会社の社会的信用を著しく損なう深刻なリスクに繋がります。
Google Workspaceを利用している場合、DNS設定に以下のTXTレコードを追加するだけで、簡単にSPFを設定できます。
- タイプ:
TXT - ホスト(名前):
@またはドメイン名 - 値:
v=spf1 include:_spf.google.com ~all
この一行を追加するだけで、なりすましメールのリスクを大幅に軽減できます。
さらなるセキュリティ強化へ:DKIM設定のススメ
最終的に「MXレコードの設定をスキップ」のメッセージは無事に消えましたが、サポート担当者からは、メールセキュリティをさらに盤石にするための次のステップとして**「DKIM設定」**が推奨されました。
DKIMとは?
DKIM(DomainKeys Identified Mail)は、メールに「電子署名」を付与する技術です。受信側のサーバーはこの署名を検証することで、「このメールは間違いなく正規の送信元から送られ、途中で改ざんされていない」ことを確認できます。
SPFが「送信元の正当性」を証明するのに対し、DKIMは**「メール内容の完全性」**を保証します。この2つを両方設定することで、あなたの会社から送られるメールの信頼性は飛躍的に向上し、相手の迷惑メールフォルダに振り分けられるリスクを格段に減らすことができます。
DKIMの設定手順(概要)
DKIMの設定も、手順に沿えば決して難しくありません。
- Google管理コンソールでDKIMキーを生成する:
- 管理コンソールの
[アプリ] > > [Gmail] > [メールの認証]に進みます。 - ドメインを選択し、「新しいレコードを生成」をクリックして、TXTレコードの値(長い文字列)を生成します。
- 管理コンソールの
- DNSにTXTレコードを追加する:
- ドメイン管理サービスのDNS設定画面で、新しいTXTレコードを追加します。
- ホスト(名前)と値には、管理コンソールで生成されたものを正確にコピー&ペーストします。
- 管理コンソールで認証を開始する:
- DNS設定が反映された後(数時間〜48時間)、再度管理コンソールの同じ画面に戻り、「認証を開始」をクリックします。ステータスが「メールを認証しています」となれば成功です。
まとめ
「MXレコードの設定をスキップ」という一見小さな表示上の問題も、それをきっかけに自社のメールセキュリティ全体を見直す良い機会となります。ビジネスの信頼を支えるコミュニケーション基盤だからこそ、**「SPF」と「DKIM」**の設定は、Google Workspaceを導入する上で必須の作業と捉えましょう。
今回ご紹介した手順は、ご自身で対応可能なものですが、DNS設定に不慣れな方や、より高度なセキュリティ設定に不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
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