【Workspaceトラブル事例】メール設定の落とし穴(第1回)

Google Workspace導入・活用

第1回:Gmailが受信できない!想定外のDNSの罠

「ビジネスのシステム化」において、メールは顧客とのコミュニケーション、内部連携の要となる基盤です。特にGoogle WorkspaceのGmailは、その多機能性と信頼性から、多くの起業家が最初に導入を検討するツールでしょう。私もまた、自社ドメインのメールアドレスをGmailで管理し、ビジネス基盤を強化しようと意気込んでいました。しかし、その道のりは想像を絶するほど複雑な「DNSの罠」で満ちていたのです。

夢と現実:Gmail導入への期待と最初の壁

私はすでに独自ドメインを運用しており、そのドメインのウェブサイトはKajabi、メールはConoHaのレンタルサーバーで動いていました。Google Workspaceの契約は済ませ、既存のメールアドレスをGmailで送受信できるように設定する。ごく一般的な手順に思えました。

期待に胸を膨らませ、Google Workspaceの管理コンソールでドメインを認証し、「Gmailを有効化」の設定を進めました。コンソールには「確認済み Gmail を有効にしました」の文字が。よし、これで完璧だ!と、テストメールを送信しました。

しかし、待てど暮らせどGmailの受信トレイにはメールが届きません。

最初の診断:メール転送と「ローカル配送」の罠

メールが届かない原因を調べ始めると、すぐにDNS設定の重要性に気づきました。Google Workspaceでメールを受信するなら、ドメインのDNS設定にある「MXレコード」をGoogleのサーバーに向ける必要があります。ところが、私のドメインのMXレコードは、まだConoHaのレンタルサーバーを指していました。

そこで、私は最初の解決策を思いつきました。「MXレコードをConoHaに向けたまま、ConoHaのメールサーバーでGmailのアドレスに転送すればいいのではないか?」

ConoHaの管理画面で、特定のメールアドレス(例:info@mydomain.com)からGoogle Workspaceで設定したGmailアドレス(同じくinfo@mydomain.com)への転送設定を試みました。しかし、これが最初の「罠」でした。

テストメールを送ると、Gmailには届かないばかりか、ConoHaのメールサーバー側には同じメールが2通も届くという奇妙な現象が発生したのです。これは、ConoHaサーバーの「ローカル配送」設定が原因でした。サーバーは、メールが来た際に「このドメイン宛てのメールは、まずローカルのメールボックスに配信する」と判断し、同時に「転送設定」も適用しようとしたため、混乱が生じていたのです。

  • 教訓1:既存サーバーの「ローカル配送」設定と転送の関係は複雑。
    • 単なる転送では解決しない問題があることを痛感しました。

深まる迷宮:DNSの「許可されていません」問題

ConoHaでの転送がうまくいかない以上、残る道は「DNSのMXレコードを、直接Googleのサーバーに向ける」ことしかありません。Google Workspaceの管理コンソールには、Googleが指定するMXレコードのリストが明記されています。

私はその通りにMXレコードをConoHaのDNS管理画面で設定しようとしました。しかし、そこでまたしても新たな壁にぶち当たります。

MX @ ASIA.ASPMX.L.GOOGLE.COM の様なポイント先の設定は許可されていません。

ConoHaのDNS管理画面で、Googleが指定する「ASPMX.L.GOOGLE.COM」のようなサーバー名をMXレコードとして設定しようとすると、システムがそれを許可しないのです。私は途方に暮れました。「DNSプロバイダーが、最も基本的なメール設定を許可しないなんてことがあるのか?」

これが、私が「Gmailが受信できない」というシンプルな問題が、想像をはるかに超える「DNSの迷宮」へと足を踏み入れた最初の始まりでした。この先、私は真の「権威DNS」がどこにあるのか、Googleの情報との矛盾にどう向き合うのか、そして、複雑怪奇な設定の果てに何が待ち受けているのかを知ることになるのです。

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