この記事は、メイン記事『【構築】ConoHa VPSではじめるDifyコミュニティ版 導入・起動ガイド』の補足記事です。
メイン記事では、ConoHa VPSの「Docker」アプリケーションイメージを利用することでDockerのインストール手順を省略しましたが、もしUbuntu OSのみを選択した場合など、Dockerがプリインストールされていない環境では、Difyを起動する前に手動でDockerをインストールする必要があります。
このガイドでは、Ubuntu(20.04/22.04 LTS推奨)にDocker EngineおよびDocker Compose v2プラグインをゼロからインストールする手順を詳しく解説します。
STEP 1: 古いDockerバージョンのアンインストール (推奨)
もし古いバージョンのDocker(docker, docker-engine, docker.ioなど)がシステムにインストールされている場合、競合を防ぐためにまずそれらをアンインストールします。
# 古い可能性のあるパッケージを検索して削除
sudo apt-get remove docker docker-engine docker.io containerd runc
# もし上記パッケージが見つからなくても問題ありません
STEP 2: Docker公式リポジトリのセットアップ
Ubuntuの標準リポジトリではなく、Docker公式の最新版リポジトリからインストールするようにaptを設定します。
2.1: 必要なパッケージのインストール
aptがHTTPS経由でリポジトリを使用できるように、必要なパッケージをインストールします。
sudo apt-get update
sudo apt-get install -y \
ca-certificates \
curl \
gnupg \
lsb-release
- ca-certificates パッケージは、HTTPS通信に必要なルート証明書のセットで、インターネットから安全にファイルを取得するために必要です。
- gnupgはGPG鍵(署名の検証)を扱うためのツールです。Docker公式の鍵を登録するために必要になります。
- lsb-releaseはLinuxディストリビューションのバージョン情報を取得するツールです。
2.2: Docker公式GPGキーの追加
Dockerリポジトリが信頼できるものであることをaptに知らせるため、公式のGPGキーを追加します。
# GPGキー保存用ディレクトリを作成 (既に存在する場合は何もしません)
sudo install -m 0755 -d /etc/apt/keyrings
# Docker公式GPGキーをダウンロードし、キーリングに追加
curl -fsSL
![]()
https://download.docker.com/linux/ubuntu/gpg(https://download.docker.com/linux/ubuntu/gpg) | sudo gpg --dearmor -o /etc/apt/keyrings/docker.gpg
# キーファイルの権限を設定 (読み取り可能にする)
sudo chmod a+r /etc/apt/keyrings/docker.gpg
2.3: DockerリポジトリをAPTソースに追加
aptがDockerパッケージを見つけられるように、リポジトリ情報を設定します。
# Dockerリポジトリ情報をsources.list.dに追加
echo \
"deb [arch=$(dpkg --print-architecture) signed-by=/etc/apt/keyrings/docker.gpg]
![]()
Index of linux/ubuntu/(https://download.docker.com/linux/ubuntu) \
$(. /etc/os-release && echo "$VERSION_CODENAME") stable" | \
sudo tee /etc/apt/sources.list.d/docker.list > /dev/null
2.4: パッケージリストの更新
新しく追加したDockerリポジトリを含め、aptのパッケージリストを更新します。
sudo apt-get update
STEP 3: Docker EngineとDocker Composeのインストール
Docker Engine本体、コマンドラインツール(CLI)、コンテナランタイム(containerd)、そしてDocker Compose v2プラグインをまとめてインストールします。
# 最新版のDocker Engine, CLI, containerd, Buildxプラグイン, Composeプラグインをインストール
sudo apt-get install -y docker-ce docker-ce-cli containerd.io docker-buildx-plugin docker-compose-plugin
STEP 4: インストールと動作確認
Dockerが正しくインストールされ、サービスが起動しているかを確認します。
4.1: Dockerサービスのステータス確認
sudo systemctl status docker
出力に Active: active (running) と表示されていれば、Dockerデーモンは正常に起動しています。(もしinactiveの場合は sudo systemctl start docker で起動し、sudo systemctl enable docker でOS起動時に自動起動するように設定してください。)
4.2: バージョン確認
docker --version
docker compose version
それぞれバージョン情報が表示されればOKです。
4.3: Hello Worldコンテナの実行
Dockerが基本的なコンテナ操作を行えるか、テスト用のイメージを実行して確認します。
sudo docker run hello-world
Hello from Docker! というメッセージが表示されれば、インストールは成功です。 (初回実行時は hello-world イメージがDocker Hubから自動的にダウンロードされます)
STEP 5: (推奨) Dockerを sudo なしで実行する設定
毎回 docker コマンドの先頭に sudo を付けるのは面倒です。現在のユーザー(例: difyadmin)を docker グループに追加することで、sudo なしで docker コマンドを実行できるようにします。
# 1. 現在のユーザーをdockerグループに追加
# (${USER} は現在ログイン中のユーザー名に自動で置き換えられます)
sudo usermod -aG docker ${USER}
# 2. グループ変更を反映させるために一度ログアウトし、再ログインします
exit
# 再度SSHでログインしてください
再ログイン後、sudo を付けずに以下のコマンドが実行できれば設定完了です。
docker run hello-world
[注意] セキュリティ上の意味
dockerグループのユーザーは実質的にrootと同等の権限を持つことになります。詳細は『【補足1】DifyのためのConoHa VPS初期セキュリティ設定ガイド』の該当セクションを参照してください。
まとめ
以上で、UbuntuへのDocker EngineおよびDocker Compose v2プラグインの手動インストールは完了です。
これでDifyのコミュニティ版を docker compose up -d コマンドで起動する準備が整いました。 メイン記事『【構築】ConoHa VPSではじめるDifyコミュニティ版 導入・起動ガイド』の STEP 3 (Difyソースコードのダウンロード) に戻り、セットアップを続けてください。


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