会社設立、おめでとうございます。事業の夢を形にする第一歩を踏み出した今、経営の土台となる「会計業務」をどう効率化していくか、という課題に直面しているのではないでしょうか。特に、数ある会計ソフトの中からどれを選べば良いのかは、多くの起業家が最初に悩むポイントです。
「価格が安いものが一番?」「とりあえず有名だからこれでいいか…」
そんな短期的な視点で選んでしまうと、後々の経理業務が煩雑になったり、事業の成長に合わせてシステムを乗り換える羽目になったりと、かえって時間とコストを浪費してしまう可能性があります。会計ソフトは、一度導入すると長く付き合うことになる、いわば事業の根幹を支えるパートナーです。だからこそ、設立時の今、自社の状況と将来像に合った最適なソフトを慎重に選ぶ必要があるのです。
現在、主流となっているのは、いつでもどこでもアクセスでき、法改正にも自動で対応してくれる**「クラウド会計ソフト」**です 。
この記事では、法人向けクラウド会計ソフトの3大巨頭である**「freee会計
」「マネーフォワード クラウド会計
」「弥生会計 Next
」**を、それぞれの特徴、料金、機能、サポート体制に至るまで徹底的に比較・解説します。あなたの会社にとって最高のパートナーを見つけるための羅針盤として、ぜひご活用ください。
【結論ファースト】あなたの会社に最適な会計ソフトはこれだ!
まずは結論から。あなたの会社の状況や経理スキルに応じて、おすすめのソフトは異なります。
- 簿記の知識ゼロでも直感的に使いたいなら → 『freee会計
』 経理専任者がおらず、経営者自身が会計業務を行うスタートアップに最適。「借方・貸方」といった専門用語を知らなくても、家計簿感覚で操作できます 。
- バックオフィス全体を将来的にシステム化したいなら → 『マネーフォワード クラウド会計
』 経理経験者がいる、または将来的に従業員を雇用し、給与計算や勤怠管理まで一元化したい企業におすすめ。豊富な機能と拡張性が魅力です 。
- 手厚いサポートと信頼性を重視するなら → 『弥生会計 Next
』 会計ソフトの操作に不安があり、電話などでしっかりサポートしてほしい場合に安心。業界トップクラスのシェアを誇る弥生ブランドの信頼性も強みです 。
3大クラウド会計ソフト 徹底比較一覧表
各ソフトの全体像を把握するために、主な特徴を一覧表にまとめました。
| 比較項目 | freee会計 |
マネーフォワード クラウド会計 |
弥生会計 Next |
| コンセプト | 簿記の知識がなくても使える | バックオフィス全体を効率化 | 誰でもかんたんに使える |
| 操作性 | ◎ 直感的・初心者向け (家計簿感覚) | ◯ 経験者向け (従来の会計ソフトに近い) | ◎ シンプル・初心者向け |
| 自動仕訳 | ◎ 強力な自動化 | ◎ 連携サービス数No.1 | ◯ AIによる推測機能 |
| 拡張性 | ◎ 人事労務など連携 | ◎ 豊富なサービス群 | ◯ 請求・経費精算を統合 |
| レポート機能 | ◯ リアルタイムで経営状況を可視化 | ◎ 詳細な経営分析 | ◯ AIによる資金予測(β版) |
| 法人税申告 | ◯ 対応 | ◯ 対応 | △ 書類作成のみ(申告は別) |
| サポート | メール、チャット、電話 (プランによる) | メール、チャットが中心 | ◎ 電話サポートが充実 (プランによる) |
| 料金(法人/年払) | 2,980円/月〜(ひとり法人プラン) | 2,980円/月〜(スモールビジネスプラン) | 2,900円/月〜(エントリープラン) |
| 無料お試し | 30日間 | 1ヶ月間 | 最大3ヶ月間 |
| こんな会社に | 経理初心者・経営者自身で経理 | 経理経験者・事業拡大を見据える | 手厚いサポートを求める・シンプルさ重視 |
※料金は2025年8月時点のものです。プランにより機能やサポート範囲が異なります。
それでは、各ソフトの詳細を一つずつ見ていきましょう。
freee会計:経理の常識を変える「簿記知識不要」の会計ソフト
freee会計の強み
- 家計簿感覚のシンプルな操作性: 従来の会計ソフトにある「借方」「貸方」といった専門用語を極力使わず、「収入」「支出」で登録できます。これにより、簿記初心者でも迷うことなく日々の記帳を進めることが可能です 。
- 強力な自動化で業務時間を大幅削減: 銀行口座やクレジットカードを連携すれば、取引明細を自動で取得し、AIが勘定科目を推測してくれます 。レシートをスマホで撮影するだけでデータ化・仕訳も自動で行われるため、手入力の手間がほとんどありません 。
- 請求書発行から入金管理までシームレス: freee会計内で作成した請求書は、発行と同時に売掛金として自動で登録されます。入金があった際も、明細と突き合わせて消込作業を効率化。請求から会計までが一気通貫で完結します 。
- リアルタイムで経営状況を把握: 入力されたデータは即座にレポートに反映され、いつでも最新の損益状況や資金繰りを確認できます。経営判断のスピードアップに繋がります 。
こんな会社におすすめ!
- 経理専任の担当者がいない、または経営者自身が経理を行う会社
- 簿記の知識に不安がある、会計業務に時間をかけたくない方
- 請求書の発行枚数が多く、売掛金の管理を効率化したい会社
料金プランとサポート
法人向けには、事業規模に応じた複数のプランが用意されています。一人社長向けの「ひとり法人プラン」から、部門別管理や電話サポートが付く「ベーシックプラン」など、必要な機能に応じて選択できます 。まずは30日間の無料お試しで、その革新的な使いやすさを体験してみてください。
マネーフォワード クラウド会計:バックオフィス全体を最適化する「多機能・高連携」ソフト
マネーフォワード クラウド会計の強み
- 経理経験者に馴染みやすい操作画面: 従来の会計ソフトと同様の複式簿記形式を採用しているため、経理経験者であればスムーズに導入できます 。
- 国内No.1の金融関連サービス連携数: 3,600以上の銀行やクレジットカード、電子マネーなどと連携可能で、取引明細の自動取得・自動仕訳機能が非常に強力です 。
- バックオフィス業務をまるごとカバーする拡張性: 会計ソフトを起点に、従業員の増加に合わせて給与計算や勤怠管理、経費精算などのサービスを追加導入できます。データは各サービス間でシームレスに連携するため、バックオフィス全体のDX化を推進できます 。
- 充実したレポート機能で経営を可視化: 部門別収支やキャッシュフローレポートなど、経営分析に役立つレポート機能が充実しており、データに基づいた的確な経営判断をサポートします 。
こんな会社におすすめ!
- 経理担当者がいる、または経営者に簿記知識がある会社
- 将来的に従業員を雇用し、事業規模を拡大していく計画がある会社
- 会計データをもとに、詳細な経営分析を行いたい会社
- 会計だけでなく、社内全体のDX化を進めたい会社
料金プランとサポート
法人向けには、利用人数や機能に応じて「スモールビジネスプラン」「ビジネスプラン」などが用意されています 。基本料金内で5名までの経費精算や勤怠管理、給与計算が利用できるなど、コストパフォーマンスの高さも魅力です 。1ヶ月の無料トライアルで、その多機能性を確かめてみてください。
弥生会計 Next:圧倒的シェアと信頼感「シンプル・堅実」なクラウド会計
弥生会計 Nextの強み
- 初心者でも迷わないシンプルな画面設計: 専門知識がなくても直感的に操作できるよう、シンプルで分かりやすい画面デザインが採用されています。初期設定も質問に答えるだけで完了します 。
- 会計から請求・経費精算までこれ一つで完結: 会計機能に加え、請求書発行や経費精算、証憑管理まで一つのサービスで対応可能。データは自動で連携されるため、バックオフィス業務をまとめて効率化できます 。
- 業界最大級の手厚いサポート体制: 操作方法で困った際に、専門スタッフによる電話やチャット、メールでのサポートを受けられます(プランによる)。特に電話サポートが充実している点は、PC操作に不安がある方にとって大きな安心材料です 。
- 強力な自動化とAI機能: 2,500以上の金融機関と連携し、取引データを自動で取得・仕訳します。AIが勘定科目を推測してくれるため、入力の手間を大幅に削減できます 。
こんな会社におすすめ!
- 会計ソフトを初めて使う方や、PC操作に不安がある方
- 価格だけでなく、困ったときに相談できる手厚いサポートを重視する会社
- 顧問税理士が弥生シリーズを利用している会社
- まずはシンプルに会計業務を始めたい会社
料金プランとサポート
法人向けには「エントリープラン」「ベーシックプラン」などがあり、経費精算機能の有無やサポート内容によって選択できます 。最大3ヶ月間の無料体験プランが用意されているので、じっくりと操作感を試すことが可能です。
まとめ:最適なパートナー選びが、未来の経営を左右する
会計ソフトは、単なる記帳ツールではありません。日々の業務を効率化し、正確なデータに基づいて経営判断を下し、事業を成長させていくための重要な経営基盤です 。
- freee会計
は、経理のハードルを下げ、経営者が本業に集中できる時間を作り出します。 - マネーフォワード クラウド会計
は、事業の成長に合わせてバックオフィス全体を強化していく拡張性を提供します。 - 弥生会計 Next
は、長年の実績に裏打ちされた信頼性と手厚いサポートで、初めての会計業務を強力にバックアップします。
今回ご紹介した3つのソフトは、いずれも優れた特徴を持っています。そして、幸いなことに、各社とも無料のお試し期間を設けています 。
最終的な判断を下す前に、ぜひ気になるソフトを実際に操作してみてください。画面の見やすさ、操作のしやすさ、連携したい銀行が対応しているかなど、カタログスペックだけでは分からない「自社との相性」を確かめることが、後悔しないソフト選びの最も確実な方法です。
あなたの会社にとって最高のパートナーを見つけ、事業の成功への確かな一歩を踏み出してください。



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